SCS評価制度「星3」取得ガイド: 要件から必要なツールや費用まで徹底整理【2026年最新】

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「御社のセキュリティ対策は星いくつですか?」
近い将来、取引先からこのように問われる時代がやってきます。

ネオンサイバー風

2026年開始
SCS評価制度

経済産業省が主導し、2026年度末(2027年3月頃)の運用開始に向けて準備が進められている「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)」。
大企業を狙うための踏み台として中小企業が狙われる「サプライチェーン攻撃」が急増する中、企業のセキュリティ対策状況を共通の基準で「見える化」する新しい仕組みです。

ここでは、多くの企業にとって事実上の最低ラインとなる「星3」の取得を前提に、制度の概要から具体的な要求事項、専門家の要件、そして最低限導入すべきツールとその費用感まで、一般的な社会人の方にも分かりやすく整理し解説します。

SCS評価制度の概要

まずは、SCS評価制度の基本的な情報を整理しましょう。

いつから開始の制度?

Excel

SCS評価制度は、2026年度末(2027年3月頃)の運用開始が予定されています 。

制度の検討自体は以前から進められており、2025年4月に中間取りまとめが公表され、同年12月に制度構築方針(案)が公表されました。
2026年4月〜9月を制度立ち上げの準備期間とし、2026年度下期(10月以降)には取得企業の公表が予定されています。

誰が主導している制度?

この制度は、経済産業省(METI)と内閣官房国家サイバー統括室(NCO)が主導して創設を進めています 。
また、実際の運用ガイドラインの策定や中小企業向けの支援制度(サイバーセキュリティお助け隊サービスなど)においては、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が中心的な役割を担っています 。

有効期限

星3の評価の有効期限1年間です。
そのため、一度取得して終わりではなく、毎年の更新と継続評価が必要となります 。

組織にとってのメリットとデメリット

制度への対応には手間やコストがかかりますが、それ以上のメリットがあります。

メリット

  • 取引先からの信頼獲得と取引継続:
    客観的な評価基準を満たしていることを証明でき、発注企業からの個別のセキュリティチェックシートへの対応負担が軽減されます。
  • インシデント被害の軽減:
    ランサムウェアなどの被害に遭った場合、中小企業でも数千万円の復旧費用がかかるケースがありますが、対策を講じることでこのリスクを大幅に低減できます。
  • サイバー保険料の低減:
    セキュリティ対策が可視化されることで、保険料が割引になる可能性があります。

デメリット(星3を取得しないリスク)

  • 取引機会の喪失:
    発注企業が「星3以上の取得」を取引条件とする動きが広がった場合、未取得のままでは新規受注の獲得や既存契約の更新が困難になる恐れがあります。

実務上、星3を取得しないことによるビジネス上のデメリット(取引からの排除リスク)のほうが、対策コストを上回る大きな懸念事項となりそうです。

評価方式の要件: 専門家とは?

星3の取得は「自己評価」がベースとなりますが、「専門家の確認」が必須です。

評価方式

チェックマーク

星3の評価方式は「専門家確認付き自己評価」です 。

自社で81項目の要求事項に沿って対策状況を評価した後、セキュリティ専門家がその内容を確認および助言し、署名を行います。
最後に経営者が適合を宣誓し、制度事務局へ提出して台帳に登録されるという流れです。

専門家とは

チェックリスト

自己評価の内容を確認し、責任を持って署名する「セキュリティ専門家」には、一定の資格要件が求められます。
具体的には以下のいずれかの資格を保有している必要があります 。

  • 情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)
  • 公認情報セキュリティ監査人
  • CISSP
  • CISM
  • CISA
  • ISO27001主任審査員

社内にこれらの有資格者がいる場合には、社内で手続きを簡潔できます。
有識者が社内にいない場合は、外部の専門家やコンサルタントに依頼する必要があります。(別途費用になることでしょう。)

具体的な要求事項と対象範囲

チェックリスト

SCS評価制度の要求事項は、NIST CSF(サイバーセキュリティフレームワーク)をベースにした7つの領域で構成されています。
星3では、26項目の要求事項に対して81項目(または83項目)の評価基準が定められています 。

領域と主な要求事項

領域対策の目的主な要求事項
(星3の場合)
対応の方向性
1. ガバナンスの整備責任体制の明確化・セキュリティ責任者(役員等)の任命
・セキュリティ対応方針の策定と周知
ルール整備
2. 取引先管理委託先のリスク管理・機密情報の取り扱い方法の明確化
・外部クラウドサービスの利用ルール整備
ルール整備
3. リスクの特定守るべき資産の把握・PC、サーバー、OS、ソフトの資産台帳作成
・ネットワーク構成の把握
ルール整備+ツール導入(資産管理)
4. 攻撃等の防御侵入や被害の防止・OS/ソフトの更新(パッチ適用)
・マルウェア対策ソフトの導入
・多要素認証(MFA)の導入
・アクセス権限の適切な管理
ツール導入
5. 攻撃等の検知異常の早期発見・マルウェア対策ソフトによる検知
・不審な通信の監視と遮断
ツール導入
6. インシデントへの対応発生時の体制づくり・対応手順(初動、調査、報告等)の策定
・社内外の連絡体制の整備
ルール整備
7. インシデントからの復旧業務再開への備え・重要データの定期的なバックアップ
・ネットワークから切り離した安全な保管
ツール導入

要求事項を満たすためには、単にツールを導入するだけでなく、「ルールを整備し、それが実際に運用されていることの記録(ログや台帳)」を残すことが重要です。

対象範囲

サーバールーム

評価の対象範囲は、自社の業務に関わる情報資産全般に及びます。

  • 端末: 従業員が使用するPC、スマートフォン、タブレット
  • ネットワーク、サーバー: 社内LAN、ファイルサーバー、ルーター等の機器
  • クラウドサービス: Microsoft 365やGoogle Workspaceなどの業務利用ツール
  • データ: 顧客情報、取引先から預かった機密データ、自社の重要データ

最低限導入したほうがよさそうなツール類と費用感

ノートPC

星3の要求事項(特に「防御」「検知」「復旧」の領域)を満たすためには、実務上いくつかのセキュリティツールの導入が不可欠になります。
いくら「ツールの導入は必須ではない」といえど、事実上はツールがないとどうにもならないものです。
ここでは、中小企業が活用しやすい代表的なツール群と、その概算費用(月額レンジ)を整理しました。

必須となるツール群

  1. 多要素認証(MFA) / ID・アクセス管理
    • 役割: パスワードだけでなく、スマホの認証アプリ等を使って不正ログインを防ぎます。(要求事項 4-1-5 等に対応)
    • 費用感:月額 数百円〜1,000円程度 / 1ユーザー
  2. 次世代アンチウイルス(NGAV) / EDR
    • 役割:従来のウイルス対策ソフトでは防げない未知の脅威を検知・防御します。(要求事項 4-4-1、5-1-1 等に対応)
    • 費用感:月額 500円〜1,500円程度 / 1台
  3. IT資産管理 / MDM(モバイルデバイス管理)
    • 役割:社内のPCやスマホのOSバージョン、インストールされているソフトを把握し、一元管理します。(要求事項 3-1-1 等に対応)
    • 費用感:月額 300円〜1,000円程度 / 1台
  4. クラウドバックアップ
    • 役割:ランサムウェアに感染しても復旧できるよう、ネットワークから切り離された安全な場所にデータを自動保存します。(要求事項 7-1-1 等に対応)
    • 費用感:月額 数千円〜数万円(データ容量による)

費用を抑えるためのおすすめアプローチ

個別のツールをバラバラに導入するとコストが高額になりがちです。
中小企業には以下の2つのアプローチがおすすめです。

アプローチA:統合ライセンスの活用

たとえば、Microsoft 365 Business Premiumの活用などです。

すでにMicrosoft 365を利用している場合、上位プランである「Business Premium」(月額 約3,300円/ユーザー)にアップグレードすることで、MFA、EDR(Defender for Business)、資産管理(Intune)の機能がすべて含まれており、このコスト内で多くの技術要件をカバーできます。

アプローチB:「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)」の活用

経済産業省とIPAが推進する中小企業向けの支援制度です。
月額 数千円〜十数万円程度のパッケージで、EDR等のツール提供だけでなく、24時間監視、インシデント発生時の相談窓口、さらにはSCS星3取得に向けた評価や専門家確認の支援までがセットになる予定です(2026年秋以降本格運用見込み) 。

制度開始に向けて今から準備を

鍵

SCS評価制度の「星3」は、決して大企業だけのものではありません。
むしろ中小企業こそ意識すべきものです。
サプライチェーンに連なるすべての企業に求められる「セキュリティの運転免許証」のような存在だからです。

ツールの導入だけでなく、ルールの策定運用記録の蓄積の定着には半年から1年程度の時間がかかります。
「制度が始まってから」とか「取引先に言われてから」とかいったことでは間に合わない可能性が高いです。
まずは自社の現状(IT資産の棚卸しやバックアップ状況)を把握するところから、一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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