Audibleで小説版を聴いたわけだが。
先日の金曜ロードショーで実写映画版も観た。
放送されたのは2026年8月28日で、本編ノーカット、地上波初放送だったみたい。

映画『8番出口』
感想
小説版を先に知っていたから、映画を観る前から「ここでこうなるんだろうな」という心の準備はできていた。
とはいえ、実際に人が演じて、音がついて、地下通路が画面いっぱいに広がると、やっぱり別の怖さがある。
『8番出口』ってどんな作品?
『8番出口』は、同名のゲームを原作とした邦画。
地下鉄の改札から地上へ向かう地下通路を舞台にした作品。
主人公の男は、同じ場所を何度も歩いていることに気づく。
どうやら、無限に続く通路へ迷い込んでしまったらしい。
出口の案内には、次のようなルールが書かれている。
異変を見逃さないこと。
異変を見つけたら、すぐに引き返すこと。
異変がなければ、引き返さないこと。
8番出口から外に出ること。
元になったのは、KOTAKE CREATEが2023年に制作したゲーム。
映画版は二宮和也さんが「迷う男」を演じ、川村元気さんが監督・脚本を担当。
河内大和さん、小松菜奈さんらも出演していて、上映時間は95分。
ゲームの基本は、通路に起きる「異変」を見つけること。
映画ではそこに、主人公の人生や迷いが重ねられている。
単純な間違い探しを、そのまま長編映画にしたわけじゃない。
ゲームを映画化してノベライズだもんね
今回ちょっと面白いのは、ゲームを映画化し、その映画をもとに小説版も作られているところ。
小説『8番出口』は、映画の監督・脚本を担当した川村元気さんによる書き下ろし。
映画では見えにくい登場人物の考えや心の動き、小説版ならではの異変が描かれている。
ゲームはプレイしてない。
映画も小説も、通路を歩いて異変を探すという大枠は変わらない。
だから小説を聴いたあとに映画を観ると、「ああ、ここは想像していたとおりだ」と思う場面がけっこうあった。
映像が想像どおりというのは悪い意味じゃない。
むしろ、頭の中で組み立てていた無機質な白い通路が、そのまま動き出した感じ。
小説で補われた主人公の内面と、映画の映像・音響が、それぞれ別の角度から同じ迷路を見せてくれる。
話題のおじさんが怖い
映画を観た人の印象に残りやすいのが、通路を歩くおじさんだと思う。
劇中では「歩く男」と呼ばれ、河内大和さんが演じてる。
このおじさん、普通に歩いているだけなのに、妙に怖い。
顔つきや姿勢もそうだけど、歩く速さと、こちらを気にしているのかいないのか分からない感じがかなり不気味。
小説版を聴いたときも、存在の不穏さは感じた。
実写で観ると、その不気味さが一気に具体的になる。
話題になった理由も、派手な怪物だからではなく、現実の地下通路にいそうな人が、少しずつ現実からズレて見えるからじゃないかな。
河内大和さんの演技は、やりすぎていないのに目が離せない。
こういう「何もしていないのに怖い」役は、演じる側の細かい動きが出るよね。
速く行動すればいいのに
観ている側としては、異変を見つけたら、すぐに引き返せばいいのにと思う。
ルールもはっきりしているし、何度も経験しているんだから、もっと速く動けそうなものだ。
すぐに行動しちゃったら、演出プランが変わっちゃうか。
人間の好奇心みたいなものも表現されてるのかも。
「今のは本当に異変だった?」「見間違いじゃない?」と考えているうちに、時間だけが過ぎていくとか。
ゲームならプレイヤーが自分で操作するけど、映画では主人公が迷う。
その時間を魅せる必要があるよね。
そのための待ちの演出だと思えば、もどかしさにも意味はある。
主人公は通路だけでなく、自分の心の中でも迷っているからね。
このあたりは、小説版のほうが主人公の内側を細かく追いやすい。
映画は表情や間、音で見せる。どちらが優れているというより、同じ物語を別の方法で体験する作品だと思う。
そのあたりを演じ切る二宮和也さんも凄い。
CM多すぎ
これは作品の内容とは関係ないけど。
金曜ロードショーなので当然なんだが、CMが多い。
録画して、CMを飛ばしながら観たから最後までいけた。
リアルタイムで観ていたら、通路の緊張感が途切れてしまって、少しつらかったかもしれない。
本編自体は95分なので、映画としては長すぎない。
ただ、同じ通路を歩く場面が続く作品だから、途中でCMが何度も入ると、ループ感より先に番組の区切りを意識してしまうんよ。
ちょっと怖いけど面白かった
小説版を先に聴いていたおかげで、だいたいどんなことが起こるのかは覚悟できていた。
映画でビクッとなる場面はあっても、怖さは局所的だったと思う。
何も起きていないように見える通路そのものが、ずっと不気味なんだよね。
明るくて、きれいで、見慣れた場所なのに、出口へ近づけない。
そのズレがじわじわ効いてくる。
現実の出口8でもドキドキ。。

それにしても、俳優さんたちはすごい。
特に河内大和さんの「歩く男」は、歩き方だけで作品の空気を変えていた。
二宮和也さんも、派手に叫び続けるのではなく、困惑や疲れ、判断できなさを表情で見せている。閉鎖された空間で感情の変化を伝えるのは、かなり難しいはず。
ゲームをそのまま映画にするのは難しそうだけど、『8番出口』は、ゲームのルールを残しながら、映画独自の物語を足してるってことで。
小説版を先に聴いた身としては、映像が答え合わせのように感じられる場面もあったし、逆に映画を観たあとで小説を読み返したくもなった。
ものすごく怖いホラーではないよ。そんな期待だと、少し違う。
でも、日常の風景が少しずつ変になるタイプの怖さが好きなら、すごく楽しめる作品だと思う。
結論としては、ちょっと怖いけど面白かった。そして、おじさんの歩き方は、しばらく頭に残った。
出口8に反応しがち
実写映画『8番出口』は、無限ループする地下通路と「異変を見つける」というゲームの面白さを土台に、主人公の心の迷いを描いた作品。
小説版を先に知っていても映像を楽しめるし、映画を観てから小説版に戻る楽しみ方もできる。
個人的には、Audibleで小説版を聴いてから映画を観る流れはかなり相性がよかった。
ホラーが得意ではないからね。
物語の大筋を知ったうえで、俳優さんたちの演技や音、通路の異様な空気に集中できた。
小説を読んで以降は、出口8でドキドキしてるんだよ。
映画によって、さらにドキドキだよ。


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